月曜なのでジャンプの感想を書こうと思ったんである。が、「できるだけポジティブなことを書きたい」と前向きな気持ちと、「今週のジャンプはいまひとつだったな」という正直な気持ちがぶつかって、何を書こうか迷ってしまう。そんな心境である。
その折衷案、中間地点として「俺が好きな少年マンガ」を書こうと思うんである。ジャンプ大好き一家言おじさんとして、あのマンガよかったよね。こういうところが好きだったんだよね、という話である。俺は誰に忖度しているのか。わからんけど、そういう話である。
ハイキュー
近年最高に好きだったのは、やはりハイキューである。まず、ムカつくやつが出てこない。全員が最高にさわやかである。お互いがお互いに、真面目にバレーボールをやっていて、全力を尽くす。ところが、大会であるから、別々の高校に所属していて、自ずと勝ち負けも決まってしまう。そこに遺恨はなく、負けてしまっても後腐れがなく、じめじめとしたところがない。
主人公の日向も背が低いというバレーボール選手としては致命的な欠点を抱えているが、それについて腐ったりしない。ママさんバレーに混ぜてもらったり、別の部活に入った友達に練習に付き合ってもらったりして、とうとう全国でも一流の選手に成長する。努力の人だが、その努力を誇ることも驕ることもなく、ずっとバレーボールを楽しんでいる。
世の中には「ムカつく敵役を出して読者を苛立たせる」「主人公がやりこめることでスカッとさせる」というマッチポンプ式の演出もある。俺もなんだかんだ言って読んでしまうので、その需要はわからんでもない。わからんでもないけど、お腹いっぱいという気持ちである。
「みんな、がんばってるんだ」というお話の作り方は難しいんだろうと思うが。『ハイキュー』や『ドクターストーン』のように、全員が最善の努力をしている。相手を馬鹿にしたり、恨んだりしない。わかりやすい悪役が(あまり)出てこない、というマンガが大好きなんである。そういう少年マンガが増えることを期待しておる。
ドラゴンボール
この話をするのにドラゴンボールまでさかのぼるのもどうかとは思うんだが。俺はドラゴンボールが大変にシンプルなため、好きである。悟空は一貫して強いやつと戦いたいだけ。目の前に強いが次々と現れるから、とにかく戦っていく。ものすごくシンプルな構図でいい。
敵役の事情にもあんまり踏み込まないのもいい。レッドリボン軍にもフリーザにもセルにもそれぞれ事情はあるんだと思うが、そんなに踏み込まない。悲しい過去とか、それをしないとならない事情があるのかもしれん。あるのかもしれんけど、いきなり回想に入ったり、許してあげてね、という説明をしてこない。そこもいい。
世の中には単純な正義も悪もないんだよ、という物語が昨今は流行っているし。ジャンプにもその傾向は入ってきたけれども。いらんじゃないか、そんなもの。どんな事情があろうとやらかしたもんはやらかしたんであるし、そんなものを知っても気が滅入るだけである。
少年マンガなのだし、そんなに複雑な設定はいらん。心情描写も味方はともかく、敵にはいらんじゃろうと思う。とにかく戦いたい、戦うのが大好きという悟空はシンプルでわかりやすいし、根が明るいので見ていても楽しい。俺はもっとシンプルなマンガを読みたいんである。
アイシールド21
正直、これはハイキューと書きたかったが、既に書いていた。とにかくハイキューは最高の作品だったし、様々な要素を兼ね備えた、素晴らしい作品だった。アイシールド21もかなり古い作品なので、今になってみるとおじさんしか知らんと思うんだが。やはり大変に面白いマンガだった。
構図としてはハイキューに近いものがあって。周囲からイジメられて、不良から言いように使われていた少年が、めちゃくちゃに足が速いところを買われてラグビーをする。そこから全国の猛者たち相手に試合を重ねることで、才能を開花させ、いつしか超一流の選手になっていくというストーリーである。
わかりやすい悪者があまり出てこないし、主人公は後ろ向きな性格をしているが、その分だけ努力家でもある。生まれついての才能だけでなく、それまでのイジメられていた生活環境や部活動での努力が実を結んでいくという展開も泣けるものがある。
ラグビーは一個のボールを敵陣深くまで運び込むゲームで、それぞれの登場人物が力を合わせて努力の成果をつないでいくんである。ボールを蹴り、投げることにだけ特化した男、必死になってボールを抱えて走る男、どんな悪送球でもキャッチする男。全てがひとつらなりになって得点に結びつく。
たった三年の部活動だからできる短い時間の濃さ、チームスポーツだからこそ描かれる一体感。実在するスポーツ競技だからこそ我がことのように体感できるリアリティ。部活動のスポーツマンガには、他のジャンルにはない芯に迫った魅力がある。
どうせどんなマンガが当たるか当たらないか、なんてわからないんである。だからこそ、ジャンプはアンケート至上主義を貫いてきたし、だめなマンガは勝手に自然と打ち切られてしまう。妖怪マンガなんて同時期に3本も連載させるんだから、スポーツマンガだってばんばん連載させて様子を見て欲しいもんである。
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