宮尾岳先生の同人誌に関するツイート「こんなモノ描いて儲けていいのか?と」まとめ
コミケ以前以後、という表現は全く正しくないと思うが。日本のオタク界隈はどこからか、二次創作をサイクルに織り込んだ形で進化してきたと思うんである。公式の一次創作がピラミッドの頂点に立ち、数多の二次創作がその下に広がりを見せる。その前提で世界が作られてきた。
マンガ家が必死になって企画を通して、マンガを連載する。そのうちの数%がアニメ化し、何十人何百人が関わってアニメを作る。ゲームになり、グッズが作られ、ディスクも売られる。ごく一部のアニメから莫大な利益が発生する。
そのアニメ作品から二次創作が生み出される。Pixivやtwitterに流したり、ちょっとした小遣い程度で印刷してイベントで頒布し、大半は散財になるが。技術は向上するし、承認欲求も満たされる。
利益が出たり、出なくとも称賛してくれる人がいれば、また創作したいというモチベーションになり、創作能力を持った人間はどんどん増えていくことになる。母数が増えることで、その中の一部はオリジナルの作品をヒットさせる作家になる。
この二次創作を含んだ市場サイクル、文化的サイクルがいつの間にか完成していたわけで、それ以後の人間は二次創作に大きな違和感を覚えないわけである。自分が立っている大地は実は動いているんです、と言われても信じられないのと同じである。
宮尾先生はそのサイクルが完成する以前から、アニメというものが日本で人権を得る以前から、創世記から仕事をしてきた人である。二次創作どころか公式でさえ世間から後ろ指を刺されてきた世代の人間なのだから、二次創作などというものを快く受け入れられるわけがない。
ちょっとしたパンチラ、セクシーに見えるというだけのカットさえ、クライアントから厳しく監修を受けたであろう職業人が、版権絵を裸に向いてとらのあなやメロンブックスで大量に通信販売している現状を納得するわけがないだろう。
その上で、「今更その流れに反論するつもりはない」「コミケ抜きにマンガ業界が成立しないのもわかっている」とまで書いてくれているのだから。そこに大勢で批判の声をぶつけるのは、狭量がすぎると思うんである。
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