とうとう日焼け止めを買ったんである。
出かけると異常に眠くなる。手足がかゆくなって、異常にお腹も空くし、首が痛くなって、頭痛もしてくる。偏頭痛持ちなので首肩の凝りと頭痛は日常と言っていいが、それにしても頻度が高い。
どうしてだろうと考えてみると、この異常な暑さに思い至ったわけである。出社しても30分程度は涼まないと仕事にならないし、体がかっかとして、扇風機を浴び続けても収まらない。これは日を浴びすぎて、体がバグっているのではないか。
Amazonで日焼け止めを検索したところ、これが無限にある。高いのから安いのまで種々雑多にあるし、クリームタイプ、ジェルタイプ、スプレータイプにメーカー違いが何十個と出てくる。
俺は頭が悪い。悪いので、選択肢が4つを超えてくると、さっと脳がフリーズしてしまう。選べることは豊かさだと言うが、何も知らない分野に無限の選択肢が提示されてくると、撤退せざるをえない。
では、と日焼け止めの有識者のおすすめを探すのだが。不思議なことに、男性が日焼け止めを使う前提の記事はなかなか見つからない。基本は女性の美容対策の一環として使用されており、シミやそばかすを防ぐ、保湿液を兼ねる、といった文脈になる。
俺は別にシミやそばかすが増えようと減ろうとどうでもいいわけである。どちらかと言えば小綺麗な方が良いような気もするが、求めているのはそこではない。体のかゆみやダメージを防ぎたいのであって、言うなれば、防御力を上げたいだけなんである。
なんというか、ゲームで言えば、ただひたすらに頑丈な防具を求めているのが俺である。とにかく防御力を上げた結果、様々な効果が付随するのはいいが、防御力と特殊効果のトレードオフをする気はない。
しかし、紹介される日焼け止めは紫外線に対する防御力と保湿効果だとか美肌効果のトレードオフみたいな書き方になっており、言うなれば、防御力はちょっと低いけど、回避能力やスピードが高い防具みたいなものが並んでいる。
わからないことも、調べればわかるはずだ、と俺は思ってきた。わからんのである。調べてもわからんことはある。俺は薬局に行った。俺が求めているのは美容効果ではなく、日光によって起きる障害を乗り越えることで、これは薬用効果を期待するもの。つまり、病院や薬局が一番であり、コロナのこの時期に病院へ行けないとしたら、薬局に行くのが正解だと思ったからである。
薬局は偉大である。日光を浴びると体がかゆくなるので、日焼け止めが欲しいのです、と説明したら、すっと売り場まで案内してくれる。防御力は30と50がある。強力なものだと体が乾いて、別の弊害が出るものもある。ジェルはさっぱりしているものも多いし、スプレーは手軽に塗れる。
長く外に出ていないなら強力でなくともいいが、出社だと朝夕の2回が必要になって、間を置くと効果が消えるので持ち運べるタイプがいい。強力なものだと2000円くらいするが、こまめに使うなら1000円程度のものを惜しみなく使う方がいい場合もある。
かゆいところに手が届く説明である。実にありがたい。俺は引きこもり適正のあるオタクとしてインターネットと共に暮らしてきたが、リアルな人間のありがたみというものを思い知った。パソコンで完結しないものも、世の中にはある。
1000円程度の日焼け止め、2本を買ってきた。クリームとジェルの差は体感しないとよくわからんかったので、だったら使ってみればいいと思ったからである。次の出社にはこれをべたべたと塗ってみて、使い勝手を実感してみる所存。
正直、楽しみである。日焼け止めはどんな効果を発揮するのか。それによってかゆみは出なくなるのか。俺の体調不良が日光とは全く無関係の可能性だって、大いにある。その時は困ったことになるが。とにかく、俺は今新しいおもちゃを手に入れた気分で、非常にわくわくとした気持ちでいる。
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