『スト5CE』ハイタニとKSKが語る、ゲーセンに比べてネット対戦が辛い話。「常に同レベルの相手と戦うから強くなったことを実感し辛い」「熱帯は常にキツい」
俺も高校から大学、就職して数年もゲーセンに通ってきた。友人の家に集まって格闘ゲームをして遊ぶことも日常としてあったから思うんであるが。リアルに集まって遊ぶ格闘ゲームとオンラインでの格闘ゲームは全くの別物である。
ゲーセンには他者と戦うために置かれた格闘ゲームやガンダムのアクションゲーム、レースゲームなどがあった。一方で、自分のスキルを高めて、より高いスコアを目指す、麻雀やシューティングというゲームもあった。
俺が思うに、リアルの格闘ゲームは前者なのだが、オンラインでの格闘ゲームは後者なんである。自分の格闘ゲームスキルを磨いて、より高いランクを目指す、修行僧的な遊び方。これがオンライン対戦である。
どこまでいっても同じレベルの敵が出てくる
麻雀やシューティングは一定のルールや基準が決まっていて、その時々で相手が変わったりしない。配牌が違うとか、ハイスコアだと強いステージが出てくるといったことはあるが、一定程度の幅に収まり、ルーチンで処理するできるものである。
オンライン対戦はマッチングシステムが優れている限り、常に同じ程度の敵しか出てこない。もちろん自分が強くなって勝率が上がれば、より強い敵が出てきてはいるのだが。マッチングの見えざる手が勝率を調整してくれるため、絶対的には強くなっていても、自分との強さは相対的に変わらない相手である。
こう断言するのもなんだが、自分と同じくらい強い相手というのは、自分と同じくらいのコンボ精度で、同じくらいの知識で、同じようなキャラを使ってくる。これは俺の肌感覚だが、高レートの強者というのは自然と強キャラに偏っていくから、弱いレアキャラにあたる確率も下がっていく。
ずっとコンピュータと戦ってる感覚
暴言を吐かれるからだろうが。格闘ゲームにボイスチャット機能はついていない。少なくとも、俺が知っている範囲でボイスチャットが内蔵されている格闘ゲームはない。定型文のやりとり、屈伸のような煽りがせいぜいで、コミュニケーションは取れない。
無言のうちにマッチングされて、対戦して、去っていく。回転寿司でネタが回っていくのと同じくらい簡素に、オンライン対戦は過ぎていく。無味乾燥である。正直言って、負けても大して悔しくない。
俺が元々敵愾心の弱い人間だから、ということもあるだろう。リアルに対戦していた際も、死ぬほどむかつく、ということはなかった。古来ゲーセンでは、発狂してリアルファイトしている方もいたが、さすがにそこまでの情熱はなかった。そこまではないが、俺だって負けて悔しいという感情はあった。
今オンライン対戦をしても、負けて悔しいという気持ちはほとんどない。0ではないが、トイレに行ったら忘れるレベルの悔しさなんである。相手が人間であるという感覚がほとんどないからである。
ずっと同じような敵が、ずっと同じような動きをしていて、自分がいい動きをすれば勝てる。失敗すると負ける。勝っても負けても、やはり同じレベルの相手とマッチングして、同じことを繰り返す。自分のスキル向上を判断できるのはランクのみである。
〆
見知ったお約束のキャラが出てきて、納得のコンボや動きをして、これを自分がスキルを上げることでクリアしていく。自身のスキルアップを知るために、常にランクの上下を気にする。この構造は一人用のシューティングやパズルにかなり近い、と俺は思うんである。
昔のような感覚で格闘ゲームをするには、リアルで友人を招集するか。友人やコミュニティでボイスチャットをするしかない。するしかないが、社会人にはなかなかにハードルが高い。正直、ゲーセンや友人との格闘ゲームが好きだった俺にとって、オンライン対戦の格闘ゲームは魅力がない。
ただ、格闘ゲームが一人用ゲームに近づいたということは、黙々と一人で集中してゲームをしたいユーザにとって、格闘ゲームが魅力的になっている可能性はある。未知の強者が生まれている可能性もあるから、実はめちゃくちゃ強い猛者が出てくるのかもしれない。それはそれで見てみたい気もするんである。
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