機材の話である。機材というのは私用で使用しているキーボード及びマウスのことであって、プログラマとして働いている身の上として、一番気を遣うところである。気を遣うというのもおかしな話で、一番こだわりたいというのが正確かもしれん。これはあくまで個人的な話であって、プログラマであってもイスを気にする人、ディスプレイにこだわる人、スペックにこだわる人など多々いるわけで。俺はこういった中で一番気にするのはキーボードとマウスなのである。
これは俺の開発スタイルに依るところ大なのだろう。例えば、パッケージソフトやスマホアプリなんぞは高性能マシンを必要とするし、長時間仕事をする人にとって負担の低いイスは欠かせないものらしいが。俺はウェブ系の開発をしており、しょせんはブラウザで動く程度の代物なのでスペックを必要とせず、そんなに根詰めて仕事をしていないので普通のイスで良い。その代わりと言ってなんだが、俺はキーボードとマウスが妙に気になる性質なのである。
キーボードはG613、マウスはG304。どちらもLogicoolのゲーミングシリーズで、お値段もそこそこする。俺のPCは開発用だからCPUもメモリもSSDもそれなりのものを買っているが、グラフィックボードは刺さっていない。その値段をメモリにつぎ込んだからなんだが。ゲームをしない。ゲームをしないのに、ゲーミングキーボードとゲーミングマウスである。何故か。
反応が良いからである。こいつらはLIGHTSPEEDといって特殊な規格が実装されており、ワイヤレスなのに高速通信が可能なのである。とても早い。ワイヤレスマウスというのは得てして反応が遅く、引っ掛かりを感じるものだ。キーボードは大した遅延を感じないが、マウスは如実である。右から左にずらすだけでもワープ現象が発生する。LIGHTSPEEDにはそれがない。わざわざ紹介するからには満足度が高いわけだが、その理由の一つが反応が早いということである。
キーボード。これがまた良い。いわゆるメカニカル式というやつで、この方式は硬くて深い。ちょっとひっかかりを感じるくらいに押し応えがあって、十分に押したというのが分かるくらいに深い。世の中にはぺったんぺったんのキーボードもあるし、それはそれで悪いとは言わない。何しろ打鍵に力のいらないもの、浅いものの方が楽に高速に押せるのは確かである。
確かなんだが、俺は打鍵の薄いキーボードというのがあまり好きではない。これは完全に好みなんだが。打鍵がめちゃくちゃ早くなっても、俺の考える時間は大して早くならない。一秒間に30打鍵できて、40打鍵できても、生産性は大して変わらないと俺は思う。何も考えないなら多い方が仕事も早いと言えるが、どうせ考える時間の方が長いのだからして、一定より早ければ打鍵速度は生産性に寄与しない。
じゃあ、なんで、俺はメカニカル式が好きなのか。それもG613のような堅焼煎餅みたいなキーボードが好きなのかといえば、これは押すのが楽しいのである。楽しいという感覚がわかるだろうか。これは職場ではまず使えない。何故なら、打鍵があまりにもうるさいからである。カッチャンカッチャンと激しい音を立てるから、周囲に人がいたら遠慮して使えない。その押し応えが、感触が、打鍵のたびになる音がいいんである。ガキンガギンと指先に伝わってくる反動、これがG613の全てであると言っていい。おそらくメカニカル式を所望する人の欲望に応えてくれる機種である。
マウスG304の良いところは、その軽さにある。軽い。実に軽い。ワイヤレスマウスというのは得てして重くなりがちである。理由は明白で、電池を入れるからである。だいたい単三電池2本が入っているから、最低限、それだけの重さになる。これは有線マウスに比べて圧倒的に重いわけで、まるで昔のゴムボールマウスを思わせるマウスだ。俺なんか貧弱な坊やだから、重いマウスをずっと使っているとどんどん気持ちがおっくうになっていく。虚弱というよりか怠惰なのかもしれないが、やる気がでないのだから、同じことである。
G304は違う。軽い。単三電池1本しか使っておらず、無駄な装飾もない。例えば、最近のマウスはエルゴノミクスといってデザインがこっており、結構な頻度でゴムがついていたりするのだが。このゴムが半年も経つと手汗を吸ってべたつく。べたつくだけなら不快で済むが、部位によってはぼろぼろになっていくから作業終わりに手に黒いかたまりがついたりだとかしか、厄介である。
G613とG304は最近買った中で最高の組み合わせであり、おおよそプログラマなら満足いくセットであると自負する。ここに行きつくまでに何台もキーボードとマウスを購入しており、そのたびに違和感を覚え、部屋の肥やしになっている。俺が言うのだから間違いない。もうちょっと良い機材を揃えたいな、と思う方がいたら、ぜひ参考にして欲しい。
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